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2006/12/25

早川忠孝代議士が事務局長を務めております、『飲酒運転根絶プロジェクトチーム』において、取りまとめを致しましたのでここにご報告致します。

飲酒運転の根絶に向けて

平成18年12月20日

自由民主党政務調査会
交通安全対策特別委員会
飲酒運転根絶プロジェクトチーム

 本年8月25日、福岡県で飲酒運転の車によって幼い三人の子どもの命が失われるという大変痛ましい事故が発生し、その後も、飲酒運転による死亡・重大事故が相次いだことを契機に、飲酒運転問題が大きな社会的関心事となった。7年前の平成11年11月、幼い二人の子どもの命が失われた東名高速での飲酒事故をきっかけとして、危険運転致死傷罪の新設、飲酒運転に対する罰則の強化等飲酒運転に対する厳罰化が図られ、飲酒事故が減少傾向で推移してきただけに、再び惨事が繰り返されてしまったことが残念でならない。

 飲酒運転の危険性は言を俟つまでもない。飲酒運転の死亡事故率(交通事故件数に占める死亡事故件数の割合)は、飲酒なしの8.4倍、酒酔い運転にいたっては、36.5倍にもなる。それでも、「少しくらいなら大丈夫」、「自分だけは大丈夫」という過信から飲酒運転は後を絶たない。また、飲酒運転で摘発されたり、事故を起こしたりしたにもかかわらず再犯を繰り返す飲酒運転常習者の存在も明らかとなった。

 飲酒運転の根絶を期すためには、飲酒運転に対する厳罰化、行政処分の強化、啓発活動の強化等総合的な対策を進める必要がある。また、飲酒運転で事故を起こした場合、危険運転致死傷罪の適用を逃れるため、逃亡したほうが刑が軽くすむという「逃げ得」が生じているという指摘もある。これが事実であれば、法律がより悪質な行為を助長していることとなり、一刻も看過できるものではない。早急な対応が必要である。

 本プロジェクトチームでは、このような観点から、政府から飲酒運転対策の状況について説明を求めたほか、飲酒運転の追放に取り組んでいる民間団体及び飲酒運転被害者遺族のヒアリングを行うなどこれまで7回にわたり精力的に議論を重ねてきた。この度、その成果を中間報告として取りまとめ、以下の通り提言する。

 飲酒運転の根絶は一朝一夕に果たせるものではない。政府に対しては、本提言に盛り込まれた諸施策の早急かつ適切な対応を求めるとともに、今後、飲酒運転の根絶に向けた持続的な取組がなされるよう期待するものである。

1.飲酒運転等に対する厳罰化

(1)飲酒運転に対する厳罰化

ア 飲酒運転の罰則の強化

飲酒運転(道路交通法第65条第1項)では、現行法上、酒酔い運転は、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、また酒気帯び運転は、「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」とあるが、罰則を現行の2倍程度に強化する。

イ 救護義務違反(ひき逃げ)の罰則の強化

いわゆる“ひき逃げ”と言われる救護義務違反(道路交通法第72条第1項前段)では、現行法上、「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とあるが、罰則を現行の2倍程度に強化する。

ウ 酒類提供や同乗行為等に対する罰則規定の整備

飲酒運転の行為者に対する酒類の提供行為、飲酒運転の車両への同乗行為については、道路交通法第65条第2項において、「何人も、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。」とあるが、罰則はないため、現行法上、刑法の教唆・幇助に該当する場合、検挙・処罰している。この点、道路交通法に車両等の提供行為や、酒類の提供行為、車両への同乗行為について幇助で処罰されるよりも重い処罰が可能となるよう罰則規定を整備する。

エ 飲酒検知拒否の罰則の強化

警察官による飲酒検知(道路交通法第67条第2項)を拒み、又は妨げた者に対しては、現行法上、「30万円以下の罰金」とあるが、罰金を現行の2倍程度とするほか、懲役刑を課すことも含めて罰則を強化する。

オ 運転免許の行政処分の強化

飲酒運転した者及び教唆・幇助行為者に対する運転免許の停止・取り消し等の行政処分を全面的に強化し、免許の欠格期間の上限を現行(5年)の2倍程度に延長する。

カ その他

飲酒運転の下命・容認の罰則の強化等、その他必要な措置を講ずる。

(2)飲酒運転中の死傷事故に対する制裁強化

ア 飲酒運転中の死傷事故に対する罰則強化

飲酒運転中の死傷事故に厳しく対処し、これを根絶する観点から、現行法上、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で車を走行させて人を死傷させた場合などに適用できる危険運転致死罪(1年以上20年以下の懲役)、危険運転致傷罪(15年以下の懲役)と、酒酔い運転の罪+業務上過失致死傷罪(7年6ヶ月以下の懲役)、酒気帯び運転の罪+業務上過失致死傷罪(6年以下の懲役)の刑の差を埋めるべく、飲酒運転中の死傷事故に対する罰則を強化する。

イ その他

危険運転致死傷罪について、現行法上の4輪以上の自動車の適用から、その対象を自動2輪車にも拡大すべきかどうかも含めて検討する。

2.飲酒運転指導取締りの推進

(1)飲酒運転指導取締りの継続実施

飲酒運転及びこれによる交通事故発生の実態等を踏まえ、飲酒運転の指導取締りを継続的に実施する。

(2)体制の確保と効果的な指導取締りの推進

必要な取締り体制の確保、効果的な取締り手法の検討に努め、重点的かつ効果的な指導取締りを推進する。

3.飲酒運転常習者対策の推進

(1)アルコールインターロック装置の導入に向けた検討

諸外国の実態等を調査するとともに、飲酒運転者等の車両に対するアルコールインターロック装置の実用化に向けた技術的な課題及び導入の可能性について検討する。

(2)運転免許に係る各種講習内容の充実

運転免許の停止処分者講習や取消処分者講習において、ゲストスピーカーの活用等により交通事故被害者の声を届かせるなど講習内容の更なる充実を図る。

(3)交通安全指導の効果検証

刑事施設において被害者の生命や身体に重大な影響を与える交通事故を起こした者や重大な交通違反を反復した者を対象とした「交通安全指導」の効果を検証する。

(4)アルコール依存症の者に対する関係機関の連携強化

警察、医療等の関係機関が連携し、アルコール依存症の者の飲酒運転防止について検討する。

4.飲酒運転根絶に向けた広報・啓発活動の推進

(1)戦略的広報の推進

マスコミとの連携や一般からのアイデアの活用による飲酒運転の根絶に向けた戦略的広報を推進する。

(2)啓発活動の継続実施

政府広報による飲酒運転の根絶に向けた意識改革を図るための啓発活動を継続的に実施する。

(3)各種業界団体の活用

各種業界団体の取組を支援し、かつ、その検証を行うとともに、一声かけ運動などの取組事例を収集し普及を図る。

(4)民間の自主的な取組の活用

ハンドルキーパー運動等の民間における飲酒運転根絶のための自主的な取組の活用を図る。

5.飲酒運転をさせないための環境整備の推進

(1)自動車運転代行業の利用促進

自動車運転代行業の適正な運営が促進されるよう適切な指導監督等を実施するなど、自動車運転代行業の利用促進(規制の在り方の検討を含む)を図る。

(2)公共交通機関の活用促進

夜間飲酒客の公共交通機関の活用促進等について検討する。

(3)学校における飲酒防止教育等

児童生徒に対する未成年者の飲酒防止教育や、運転免許の取得が可能となる高等学校の生徒に対する飲酒運転の危険性やそのもたらす被害の重大さを認識させるような飲酒運転防止教育の充実を図る。

(4)未成年者に対する酒類の販売、提供の防止

酒類の販売、または提供する場において、対面販売を基本とすることや年齢確認の徹底について業界に対して指導する。

(5)職場等における飲酒運転防止教育

職場等における飲酒運転防止教育の充実強化を要請するとともに、講師としてのアドバイザー派遣制度を検討する。

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