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2006/03/29
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なお、早川代議士の質問は下記の通りです。
自由民主党 早川 忠孝
自由民主党の早川忠孝でございます。
自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただ今法務大臣から趣旨説明のありました「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案」について質問いたします。
今、国民が最も強く望んでいることは、「安心・安全な国日本」の再生ではないでしょうか。一般の国民の身近なところで凶悪な犯罪が多発し、子供を学校に通わせることについても不安を抱いている国民は少なくありません。与党としても、こうした治安に対する不安をなくしていくことは、重大かつ緊急な課題であると考え、さまざまな観点からの取組を進めているところであります。
何よりもまず、速やかに犯人を検挙し、新たな犯罪被害を予防することが重要であり、更には、迅速・適正な裁判を行った上で適切に処罰し、法の正義を実現することであります。また、刑の執行を受ける受刑者に対しては、再犯を防ぐための効果的な矯正処遇を行うなど刑事に関する諸制度が全体として十全にその機能を発揮することが必要であります。
そのために解決しなければならない問題は山積しておりますが、なかでも、明治41年に制定されたまま実質的な改正がなされてこなかった監獄法を全面的に改正し、行刑改革を成し遂げることは、喫緊の課題であります。
昨年成立した「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」は、その第一段階として、「国民に理解され、支えられる刑務所」を実現するため、受刑者の処遇等の全面的な見直しを内容とするものであり、近々、その施行が予定されております。
しかし、捜査や裁判のために身柄の拘束を受けているいわゆる未決拘禁者等の処遇に関する改革は取り残されており、従来からの監獄法に基づく処遇を継続せざるを得ません。
効果的な捜査と迅速な裁判によって、事案の真相を解明し、治安を維持することが求められる一方、未決拘禁者の処遇に当たっては、その人権に配慮することもまた重要であり、そうした観点からの改革が急がれています。
今回の法律案は、これまで取り組んできた行刑改革の集大成となるべきものであります。
明治時代からそのままとなっている未決拘禁者等の処遇に関する制度を平成の時代にふさわしいものとするための法改正をこれ以上引き延ばすことはできません。
十分な審議を経て早期に成立させ、行刑改革を成し遂げることが、国権の最高機関である国会としての国民に対する責務であります。
そこで、こうした「治安の維持」と「人権の保障」との調和を目指すものとしてこの法律案を支持する立場から、法務大臣、国家公安委員長及び国土交通大臣にお尋ねいたします。
(1) まず、法務大臣に、行刑施設の過剰収容に関する状況及びその対策についてお尋ねいたします。
法務大臣は、就任後、精力的に全国各地の刑務所、拘置所等を視察されたと伺っておりますが、その多くの施設において、収容定員を超えた収容になっている状況を目の当たりにされたのではないでしょうか。
こうした行刑施設の過剰収容がどのような状況にあるのか、またこれを解消するためにどのような対策を考えておられるのか、法務大臣のお考えをお伺いします。
(2) 次に、この法律案の意義についてお尋ねいたします。
未決拘禁者の処遇に関して、現行の法制にどのような問題があり、今回の法律案によりどのような法整備が図られることになるのか、お伺いいたします。
(3) 次に、未決拘禁者と弁護人との外部交通の拡充についてお尋ねします。
本年11月までには公的被疑者弁護制度が、また、平成21年5月までには裁判員制度が実施されるなど、刑事訴訟手続は大きな変革の時代を迎えております。
未決拘禁者と弁護人との外部交通のあり方についても、このような変革の時代にふさわしいものに改めていくことが求められているのではないでしょうか。
刑事訴訟手続を充実したものとするためには、その前提として、未決拘禁者と弁護人との外部交通を充実させることが必要であると考えますが、外部交通の拡充について法務大臣の見解をお伺いいたします。
(1) 次に、代用刑事施設の問題について、国家公安委員長にお尋ねします。
代用刑事施設は、監獄法第1条第3項の規定により、「監獄に代用される」警察の留置場のことで、今回の法律案で新たに「留置施設」として、その設置根拠等についても規定されることとなっておりますが、これまではいわゆる「代用監獄」と言われてきたものであります。
この代用監獄すなわち代用刑事施設については、捜査機関である警察の管理する施設が被疑者の身柄を拘束する場となることにより、自白強要等の違法な捜査が行われやすく、えん罪の温床になるとの批判がなされ、その廃止が強く主張されてきました。しかし、他方、1. 被疑者のほとんどが代用刑事施設である警察留置場に収容されていること、2. 23日間という国際的に見ても短い身柄拘束期間内に、迅速かつ緻密な捜査を遂行する上で貢献しており、わが国の刑事司法手続き上重要な機能を果たしていること等から、これを廃止することは相当ではなく、また、現実的でもないとして、その存続が主張されてきたところでもあり、その存廃をめぐって激しい議論がなされて参りました。
このような経緯で、昭和57年以降、三度にわたって監獄法の改正が試みられましたが、未決拘禁者の処遇等に関する部分については、未だ改正に至っておりません。
この難しい問題に関し、今回の改正案では、代用刑事施設制度の存続という方向性が打ち出されていると理解しております。
この結論を出すにあたっては、関係機関との協議や各界の有識者の方々によって構成される会議でなされた議論等を十分尊重されたと伺っております。
そこで、代用刑事施設制度の存続についてどのような議論がなされてきたのか、国家公安委員長にお伺いします。
(2) 次に、留置施設の運営の現状について、お尋ねします。
先ほども申し上げましたように、捜査機関たる警察の管理する施設が被疑者の身柄拘束の場となることは、無理な取調べにつながりやすいとの批判がなされているところであります。
例えば、自白を強要する手段として、睡眠や食事が利用されるようなことがあれば、これは由々しきことであり、絶対に見逃すわけには参りません。
そこで、留置施設において、このような事態を起こさないために、どのような制度上の防止策が採られているのか、国家公安委員長にお伺いします。
また、留置施設は、拘置所と違って設備が悪く、場所も狭いといわれた時代がありましたが、現状ではどのような改善がなされているのかについてもお伺いします。
(3) 代用刑事施設制度を存続させるとしても、人権に配慮した適正な処遇がなされることが必要であります。
現在においても、国際的な水準にもとることのないような処遇がなされていることと思いますが、明治以来約100年ぶりの改正でありますので、今回の法改正を機に、これまで運用で行われていることを法律上明確に規定したり、更には、施設運営の透明性を確保する措置を新たに講じるなど、制度としてさらに一歩二歩前に進めることが必要だと考えます。
今回の法改正では、留置施設についてどのような制度的改善を考えておられるのか、国家公安委員長にお伺いします。
今回の法律案は、長い間、実現されることのなかった監獄法を全面改正し、行刑改革を成し遂げるために是非とも必要であり、国民に開かれた司法制度を実現する、司法改革の重要な一角をなすものと考えます。
今回の法律案の成立にかける御決意を、法務大臣と国家公安委員長、国土交通大臣にそれぞれお伺いいたします。
治安の維持と未決拘禁者の人権の保障とは、時として対立する状況にありますが、私は、適正手続の保障等、法の支配を貫徹することにより、これを調和させることが可能になると考えております。
国民は、「世界一安心、安全な国日本」の復活を求めており、これは小泉内閣の一貫した公約でもあります。
本国会における審議を通じて、建設的かつ有意義な議論が行われることを心より期待して、私の質問を終わります。
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