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「少子化対策の緊急提言!」

2005/06/23-00:00

1.基本的な考え方

○ 将来においてわが国が引き続き豊かで活力あふれる経済社会を維持・発展させていくために、健全な人口構造を持った国家・地域を作り出していかなければならないことは、多く指摘されているところであり、政府、自由民主党をはじめ官民問わず多くの機関から、また凡ゆる角度から、諸所の対策が検討、提言されている。

しかしながらもっとも大切なのは、施策を小出しにすることなく、現実的に今すぐ着手できる政策を、大胆かつ速やかに実施するとともに、当面直ちに目に見える成果を得ることは困難でも、長い目で見れば必ず実を結ぶような施策を早急に打ち出すことである。

○ そこで、現に子を持ち、子育てを行っている我々若手国会議員は、自らの世代の課題として、この少子化問題に取り組んでいかなければならないと考え、本年3月より有識者を招いての勉強会、それを踏まえた意見交換及びフィールドワークを重ねてきた。この検討を通じて、おしなべて総花的な事項を並べるのではなく、効果的かつ財政措置も含め実現性のある対策、またその中でも近年の雇用・労働環境にかんがみ、とくに20代、30代の若手層への重点的な支援を念頭に、今般提言を行うものである。

○ 単に経済的な支援に留まらず、教育のあり方や出産そのものに関する支援、子育て期における働き方のあり方などを通じて、若者が自ら築いていく家庭のイメージ・家族観を描ける社会を構築していく。

○ 基本的な考え方は以下の通り。

1. 子どもが生まれ育っていく過程において重要な家族のつながり、地域におけるつながりを大切にし、家族がその大切な役割をしっかりと果たせるよう、国も社会も、家庭を築き子どもを生み育てることを積極的に支援する。

2. 子どもが生まれる前から、子どもが成長して自ら過程を築き良き社会人となるまでの期間を通じて、教育、働き方、育児に伴う休業中の支援、心理的な負担軽減など、切れ目なく支援する。

3. 特に、子どもが小さい頃は、父母ともに子どもにしっかりと向き合うことができるよう、仕事と家庭生活のバランスをとり、またそのことがその後の人生においてプラスになるよう、集中的に支援する。

2.緊急提言 3つの柱
(斜体は必要な追加事業費・国費ベース)

1 【子どもを育むってどんなこと?・・・それは何よりも家族を愛すること】
(家族のつながりを大切にする心、子どもを持ち、育てたいという気持ちを大切にします)

◇ 若年者が結婚し、子供を生み育てていくという自ら築く家庭のイメージを描けるべく小中学校の生活科、家庭科の学習と、児童館や保育所で行われている年長児童とのふれあい事業を結びつけ、5年間ですべての市町村において学齢児と乳幼児がふれあう機会がもてるようにします。

・ 全国の小学校(約20,000箇所)、中学校(約10,000箇所)規模で学齢児と乳幼児がふれあう機会を持てるよう、児童館や保健所における交流の仕組みと学校における教育課程の連携強化事業(コーディネート役となる教職員や保育士の研修、地域の協力者の養成)を5年間で順々に全市町村で展開。<必要予算>約15億円

◇ 産科、小児科医師等と連携して、これから親となる夫婦に子どもが生まれる前からアドバイスを送り、親となる準備と心構えができるよう支援します。

・ 携帯サイト、インターネット・webサイト等の活用による、妊娠前の段階から医師等が気軽に相談に乗り、アドバイスを受けることのできる仕組みづくり。
・ 地域における産科・小児科医師、助産婦・看護師の確保。

◇ 子どもを持ちたいと願いながら赴任に悩む夫婦が子どもを授かることができるよう、当面不妊治療に対する現行の助成制度を拡充するとともに、医療機関の自発的な実績開示を促し、不妊治療の質の向上を図ります。また不妊治療における確立された技術については医療保険の給付に取り込んでいくとともに、技術研究を進めます。

・ 医療機関による実績開示を通じての不妊治療の質の向上と分治療への理解の向上を図る。
・ 特定不妊治療費助成事業の増額(上限10万、2年度→上限30万、通算5回)。<必要予算>約200億円
・ 確立された技術については早期に保険適用。技術研究の促進。

◇ 性感染症、10代の妊娠と中絶の増加に対応し、将来健康に子どもを生み育てていくことができるよう、産婦人科と連携してカウンセリング体制を整え、命と体の大切さを若い世代にきちんと伝えていきます。

・ 性感染症、中絶が将来の不妊要因となること、また、妊娠に適した年齢、計画的な人生設計などを教える健康教育の実施。
・ 助産師・看護師等を一定の教育・研修の下に認定カウンセラーとし、用語教育との連携のもとに講師として活用。全国一律で中学校1年の夏休み前に健康教育を行う。
・ 中高生が日常的な性の悩み等を相談とする“かかりつけカウンセラー”化を医療機関の協力を得て推進。

◇ 職場・地域における若年者の出会いの場が減少していることから、出会いの場の充実をさせるために、結婚情報サービス業、仲人業等の信頼性の向上を図ります。

・ 結婚情報サービスの信頼性を向上させるための認証制度等の創設。
・ 自治体との連携、社会的認知度の向上のための施策(テレビのCMの解禁等)実施。

◇ 若年層が経済的にも自信を持って家庭を築くことのできるように、フリーター・ニートからの脱却を支援します。

・ 若者をトライアルとして企業に送り込む「トライアル雇用」プログラムの充実。
・ ヤング・ジョブスポット、ヤング・ハローワーク等のアピールを図るための、イベントの実施。
・ 若者仕事館などのワンストップ・サービスの充実。

2 【キレイごとだけじゃ子育てなんて・・・産んで、育てて、働いて】
(安心して子どもを生み育てることのできる環境を整えます)

◇ 育児休業取得率や20代、30代社員の子どもの数などを明らかにして改善に向け取り組む企業を応援し、次世代育成支援に取り組む企業のイメージアップを図ることにより、働きながら子どもを生み育てることのできる環境を整えます。

・ 指標として、尺念社員の子どもの数、契約社員・パート等も含めた育児休暇取得率・復職率若年者正規雇用率等の公表を推奨。将来的には次世代育成対策支援法の拡充に反映し、優秀な企業には奨励金なども検討。

◇ 育児休業をとったことが職業キャリアの中断、マイナス評価になるのではなく、時間を大切にする社員とプラス評価され、休業中にキャリアアップもでき、同時にスムーズに復職できるよう、助成金の改善・充実と活用の促進により、休業中の社員と社員を大切にする企業を支援します。

・ 企業によるITを活用した復職支援のための職業訓練、休業中の企業情報の発信等の環境整備を進めるため「育児休業者職業復帰プログラム実施奨励金」等助成金の充実、使い勝手の向上。
・ 育児休業等に関する中小企業への支援の充実。

◇ 働きながら子どもを育てることができるよう、時間・場所にとらわれないフレキシブルな働き方を推奨します。

・ 短時間労働、週3〜4日勤務などの時間の短縮、在宅勤務といったフレキシブルな働き方を推奨する官民を挙げたキャンペーンの実施。

◇ 待機児童の多い地域で、地域の企業の設置する事業所内託児施設の地域解放、保育所をキーステーションとする家庭的保育(保育ママ)の展開により、保育所の増設がすぐにできない地域でも必要な保育の拡充を進めます。同時に、すべての保育所での一時預かりの実施を目指し、専業主婦も含めたすべての人のための施設とします。

・ 事業所内託児施設を、待機児童の多い地域等において、地域利用に開放する制度創設。
・ 認可保育所の研修・指導のもと、待機児童の多い地域を端緒として、保育所にコーディネーターを置き、キーステーションとする保育ママ派遣事業を展開。両者合わせて1万人規模を対象→<必要予算>約30億円
・ 一時預かりを字視する保育所を拡大(当面、現行約6000箇所を倍増)。<必要予算>約30億円

◇ 学校、児童館、幼稚園、保育所などと提携して、すべての小学校への放課後児童クラブの設置を原則とします。

・ 放課後児童クラブ(学童保育)を全国小学校(20,000箇所)規模で実施。夕刻18時頃まで安心して子どもを預けることが出来る体制を目指す。<必要予算>約100億円
・ 教職員が責任を持って、知己の実施主体と学校の連携を図り、課外活動をコーディネートする“課外活動クリエイター”の仕組みを導入。


3 【「おカネがない!」=「だから産めない・・・」に対策を打ちます。】
(20代、30代をはじめとした若い世代の子育てを経済的に支援します)

◇ 若く所得が低い時期でも、育児休業や短時間勤務などを使って安心して子どもと関わる時間が持てるよう、手のかかる3歳児までを対象に、児童手当額の思い切った引き上げを行います。

・ 児童手当を3歳になるまで現行から3倍増にし、第一・二子15,000円、第三子以降30,000円に。<必要予算>約2,800億円

◇ 所得がまだ低く、たくわえにも不十分な若い家庭でも、安心して育児休業を利用できるように、育児糾合給付の最低保障額の引き上げなど育児休業給付のあり方を工夫します。

・ 20代の若年期において安心して子育てに取り組めるよう、育児休業給付に8万円程度の最低保障額を設定(児童手当の増額と合わせ、休業中でも月額10万円程度の収入を確保)。<必要予算>第70億円
・ 男性の短期の育児休業利用も視野に、当初三ヶ月間を増額するなど弾力的な制度設計を検討。

◇ 分娩費用のほか、妊産婦検診や産後のケアをカバーできるよう、出産一時金を引き上げます。

・ 所得に応じ、現行30万円から最大60万円へ出産一時金を増額。<必要予算>約1,500億円

◇ 親の学費負担を軽減するとともに、自ら学費を負担する自立意識に基づき、親の年収に拘わらず希望者是認に貸与できるよう、年収条件を撤廃するなど、日本学生支援機構による奨学金制度の拡充を図ります。また奨学金返済の際の控除制度を検討します。

・ 有利子融資枠の年収条件を撤廃。
・ 無利子融資枠を約2万人規模で拡充。
・ 学卒後一定期間の返済の際の控除検討(一定期間に限ることで、自ら働いてしっかり返すという若い時期の自立と返済の履行を促す。)返済と子育て期間が重なった際は、控除期間を延長。

※金額については、国の追加費用の粗い試算を行ったもの。
(一部の事業は、地方公共団体が費用の一部を負担することも前提に試算)

○ 必要な財源の確保

◇ 障害者を除き、20歳から64歳までの扶養控除を廃止する。(扶養控除の適用は、20歳未満と65歳以上に限定)

◇ 一般の不横行所よりも控除額の大きい特定扶養控除と老人扶養控除(同居の場合を除く)を廃止する。(学費負担については、わずかな税の控除制度よりも、奨学金の活用と本人が返す前提での奨学金返済の際の控除制度の方が効果的であり、かつ、若者の自立を促すことに寄与する)。

3.中長期的に検討すべきもの

◇ 以下の中長期的課題については、引き続き検討。

1 家族法制のあり方(婚外子の取り扱い等)

2 里親、養子縁組の充実

3 無痛分娩の情報開示

4 代理母システム、中絶に関する法制等のあり方

5 20代を中心とした住宅支援

6 治安対策の充実

7 教育費の負担軽減、公教育のあり方

8 派遣社員・パートなど働き方の多様性を踏まえた、若年者雇用のあり方

9 税制上の優遇措置(n分のn乗等)のあり方